今日もまた、昨日の続き・・・・・・
この頃、教室をしていて、ふと思うことがあります。
以前にも、ここで書いたような気がしますが。
最近、教室に入られた生徒さんの多くが、離型剤が割れる経験と、とんぼ玉が割れる経験を、あまりしていないかも。
この頃、離型剤も徐冷剤も、性能が良くなっています。
それこそ、大きすぎない、普通に丸いものを作っている分には、余程何かをしてしまわないと、離型剤が壊れたりしないし、出来上がったものが割れたりしないのです。
随分と慣れてきて、大きなものにスキガケしているときに、ふいに離型剤が壊れる。
すると、初めてのことに、何が起こったのか?って、とても驚かれたりする。
一方で、とんぼ玉が割れる経験というと、作業中に玉が冷えてしまい、そこに熱いガラスで点打ちをした瞬間に割れるということは、たまにあります。
が、完成品が、ぱっくりって、本当にまれなんですよね。
鉛ガラスで、丸い、標準的な大きさのものを作っている限り。
さて、私はというと。
どういう訳か、ガラスは、結構割れると思って来た。
最初は、中途半端にやめてしまったステンドグラス。
↑会社員時代に2年、会社を辞めてからもしばらく習ってたけど、ついにちゃんとした立体物を仕上げることはなかった
ステンドグラス教室には、いろんなガラスがあった。
初心者なりに、「リンズ」というメーカーのアンティークガラスも使ってみた。
普通に切っている分には、ちゃんと切れるのですが。
たまに、歪がある場所があって、線通りに切っているのに、突然、自分が写し取ったパーツの真ん中に、ぱきっと亀裂が入るのです。
オーマイガッ!(TT)
気に入った模様の部分に線を引いているので、結構ショックでした。
そのガラスのかけらで、フュージングをしたことがあります。
すると、ものすごく色が変わる。
かすかに乳白色と思っていたところが、ものすごくマットな黄土色になる。
はは~ん。
この手の、刻々と内側の結晶状態などが変わるガラスって、その時々で、膨張率にも変化が生じるので、割れやすいんだなあって、今なら思うのです。
ま、そのビミョーな表情のこそ、アンティークガラスの魅力だったりするんでしょう。
その次には、4年半習っていた吹きガラス。
もちろん、作業中に割れたり、電気炉から出てきた完成品が時々割れていたり。
腕の未熟さによるものが、結構あったりした。
とんぼ玉と違うところは、大きさかな。
大きいものの方が、徐冷がシビアになってくる。
それでも、大きな電気炉に、長いあいだ入っていて、徐冷が済んで出てくるのに、割れるんだよねえ。
それと、着色に使う色ガラス。
同じメーカーのフリットなのに、この色だけ、どういうわけか、誰が使ったものも剥がれるような場所に、亀裂が入っていたりして、みたいなこともあった。
吹きガラスと同時並行で、習いつつ自分の家でやっていたフュージング。
直径3~4センチのものを、クイックファイヤー6という電気炉で焼いて、そのまま電源を切っても、特に割れたりはしない。
ただ、この電気炉の棚板が、14センチ角だったため、いっぱいいっぱいくらいのものを焼いて、電気を切って、冷めたころに取り出し。
出来上がったものに、ちょっと加工をしてから、もう1回、普通に焼こうとしたら、中でガラスが3分割くらいに割れて、激しく飛び散り、電気炉の壁に当たった音がして、慌てて電源を落としたことがあった。
↑そのまま温度が上がると、壁に当たった破片が、壁にくっついたまま溶けるので
そうそう、大きなものを焼いて、取り出して、ちょっと加工と思ったら、削っているときに、真っ二つに割れたこともあった。
一応、徐冷の話は教えてもらっていたし、本も買っていたので、やっぱり、徐冷も足りないし、温度を上げるのが早すぎたんだなあって、実体験で学ぶことになり、以降、慎重になった訳ですが。
さて、バーナーはというと。
近所に教室はなく、機材だけは買えたもんで。
エアバーナーと、道具一式を買い、モレッティで、バーナーをはじめたのでした。
それが・・・・・・フュージングの材料の細引きとかを作ろうとしていたため、とんぼ玉なるものがこの世に存在していることは、前にちらっとテレビで見たことがあったけどくらいのもので、まさか自分で始めようとは、バーナーを買ったときには、思ってもみなかった。
でも、メイキング・グラスビーズという本も出て、ちょっとやってみようかなあと思ってやってみると、何でこうなったん?みたいなことに、片っ端からぶつかっていった。
この色は、何なんや!?
後日気付いたのだけど、還元炎で焼いていたため、銅発色の水色の表面が真っ赤な銅赤発色になっていて、ぱっくり割れたとき、その赤のずっと奥に、水色があったという訳。
それでも、どうしてもお魚パーツが作りたくて、試行錯誤しつつ、モレッティでお魚ムリーニを作るようになっていた。
吹きガラスのお陰ともいうし、執念とも言う。(^^;
そんなこんな中、ワークショップをはじめて受けてから、サタケガラスのとんぼ玉に踏み込んでいくのですが。
最初は、そんな徐冷で割れないのか?って、疑問でいっぱいでした。
割れる実体験に、あれこれぶつかっていたから。
あんまり、割れないのか?って、疑うので、なんやコイツ?くらいに、変な奴だったことでしょう。(^^;
後日、その過剰な心配は、修正されていくことになります。
ガラスは、徐冷が足りないと、割れる。
実際、割れる。
最初に、そういう風に感じていたなあ。
私の中では、鉛ガラスでとんぼ玉という丸い標準的な大きさの物を作ることと、丸から離れたり、大きな物になったりすることの間には、一つ壁があるのだと思っています。
↑ソーダガラスは、丸くても、もうちょっと慎重な徐冷が必要です
日本人は、丸い玉の内側に世界を作ることに関心が深く、アメリカ人は、立体を作るなどもっと発想が自由って、よく言われることにも、???って、思います。
とんぼ玉教室で習うってことは、丸い世界のスキルを習うことです。
アメリカで立体があれほど盛んなのは、ローレン・スタンプ氏のように、立体が得意な先生が、たくさんワークショップをするなどの機会が多いとか、丸いものから出て行くための背景が、揃っているという側面も、大いにあると思います。
立体を作るのは、立体を作るので、別のノウハウとスキルが存在していて、それを持っている先生がいて、習おうと思ったら習える、とんぼ玉のそれとは、共通する部分はあっても、まるきりイコールではないものです。
それに、アメリカは、スタジオグラスムーブメントが盛んだった国で、ガラス工芸っていう大きな括りと、バーナーワークが、日本より近い位置にある気がして。
日本の伝統的なとんぼ玉と、切子などの職人の世界と、アメリカからやってきたスタジオグラスムーブメントの他のガラス工芸って、それぞれお隣にあるけど、別物だったみたいな位置関係にも見えます。
この頃は、酸素バーナーで、ボロで、吹きで、立体で、みたいな所が入ってきたことで、その位置関係に変化が出てくるのかなあと、思ったりもします。
とまあ。
そんな壁を感じたりもしつつ。
まだ、丸い世界の中に、ちまちま立体を作るのに手一杯で、まだまだ作れていないものもあれこれあって、なかなか、お外の世界へと飛び出していく余裕は、まだまだない。
でも、おもしろそうだなあって、ちょっと思いながら。
老眼になっても、体が動くうちに、いつかは、お外へ飛び出して生きたいかもねえ・・・・・・とか。
思ったりするんですよねえ。
作品集を眺めながら。(^^)