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とんぼ玉作家ガラスのさかなの「タワゴト日記」

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「ふく蔵」作品展 キャプション1

移ろう色

ガラスの色は、安定的であることが求められて来ました。
何番の色は何色というように、いつも同じ色。
でもそれは、努力の結果なのです。
本来は、不安定で、移り変わる発色が、たくさんあります。


宝石や貴石などの「鉱物」、「ガラス」、「陶磁器」などの、発色元は、共通なものが多い。
工業的なガラス製品作りの際に、不安定なために使われなかった色の中には、「鉱物」として、「陶磁器」として、魅力的だと感じられてきた色があります。


陶磁器が、窯の中で焼かれる時に、色が変化することを「窯変」と言います。
この窯変と同じような、色が移り変わる変化を、ガラスでも起こすことができます。
陶磁器では、焼きあがって窯から出てきた時に、初めて、色の変化が分かる。
バーナーワークでは、目の前の炎の中で、刻々と変わっていく様子を見ることができます。
通り過ぎる、美しい一瞬を、ガラスの中に留められたら・・・・・・


偶然に出会った、移ろう色の美しい一瞬は、当てずっぽうでは、再び出会うことが難しい。
その偶然の再現を、何度も試みるけれど、どうしてもうまく行かない。
自分がどうやったのか、思い出す。
発色のメカニズムを、科学的な切り口で推測しながら、炎の酸素量や、温度、焼き時間、タイミング、不純物など、いろいろ変えてみる。
うまく行かず、一度、棚上げにする。
他の物を作った時に、ふと、ひらめきが来たりする。
そして、また、いろいろ試してみる。
そうやって、ついに出会えた時の感激は、ひとしおです。

そんな、移ろう色の一瞬を、ご覧ください。


by glass-fish | 2017-04-22 05:35