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とんぼ玉作家ガラスのさかなの「タワゴト日記」

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ふく蔵さんキャプション「銀による窯変」

銀による窯変

 ガラスの色は、工業的な製品を作る場合、焼き方によって色が変化するものよりも、安定的にいつも決まった色になる色が好まれてきました。
 一方、個性的な作品を追求するような場合では、焼き方で発色が違う、もっというと、一つの作品の部分によって色が違い、グラデーションができるような色の面白さも、好まれます。

 特に、銀を使った発色は、厚さや焼き方を変えることで、様々な色を出すことができます。
 メタリックな「銀色」、ガラスに溶かし込んだ際のコロイド発色では「青~緑~黄~黄土」、銀の薄い膜による油膜のような「虹色」。
 黄土色の層が薄い場合には、白に見えます。

 ガラスに溶かした時、最初に青、次に緑、その次に黄色と変化し、最後には黄土色になります。黄土色までの色は、一瞬で通り過ぎるため、とりわけ美しい青や緑をきれいに発色させるのは、難しいのです。

 同じ窯変色でも、銅による銅赤の発色は「酸化銅の結晶」の微細な粒粒が、ガラスに無数に浮かんでいる状態です。
 一方で、銀による発色は、「金属銀」の微細な粒粒が、ガラスに無数に浮かんだ状態です。
 どちらも、コロイド発色と呼ばれています。粒粒がガラスに無数に浮かんだ状態は、空気中に微細な水滴が浮かんだ霧や雲と、同じ現象なのです。
 銀の微細な粒粒でできる、青い霞のような色が、宇宙の星間ガスに見えてくるのは、このような共通の現象のためかも知れません。

 金属銀の微細な粒、サイズが400nm(ナノメートル)程度の時に青い色に見えるようです。サイズが徐々に大きくなるにしたがって、緑、黄色と、見える色が変化します。
 そのため、部分によって、色んなサイズの金属銀の粒粒があれば、複雑な色に見えてきます。
 この発色の現象は、「局所的表面プラズモン共鳴」という現象です。銀による発色は、以前から使われていますが、その仕組みは、最新の量子力学で、ようやく説明がされるようになりました。


by glass-fish | 2018-04-29 22:36