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とんぼ玉作家ガラスのさかなの「タワゴト日記」

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2014年 09月 26日 ( 1 )

ストライクするピンクの話

 ガラス工房アクアグリーンは、「フュージング」という方法で、ガラスのアクセサリーを作っています。
 とんぼ玉を作るようになる前から、小さなものを作っています。

 とんぼ玉は、バーナーでガラスを溶かしますが、フュージングは、電気炉でガラスを溶かします。

 あ、ちょっと脱線しますが。
 どんなガラスもですが、膨張率というものが同じガラス同士を使わないと、割れてしまいます。
 とんぼ玉で使う、鉛ガラスというのは、フュージングや吹きガラスの世界で使うガラスとは、感覚的に違いがあります。
 とんぼ玉を始めて、驚いたのですが、出来上がったとんぼ玉を、冷めないうちに徐冷材に突っ込んでおけば、そこそこな感じの徐冷で、とんぼ玉、特に鉛ガラスで作ったとんぼ玉は、割れないというのに、オドロキだったなあ、昔。
 ということは。
 他のガラス工芸では、もっと、割れやすいってことなんです。
 フュージングでよく使う板ガラス、アメリカのブルザイ社などが有名です。
 このメーカーのガラスの膨張率は、90(90×10のマイナス7乗/℃)で、ソーダガラスです。
 鉛ガラスよりは、かなり膨張率は小さい。
 同じソーダガラスのモレッティ(膨張率104)より、少し小さい。
 この、14の違いがあれば、一緒に焼くと、割れます。
 ところが、サタケの鉛ガラスとソーダガラスは、このくらいの膨張率の差はありますが、鉛ガラスの表面に、ごく少量点うちをするくらいなら、割れません。
 これは、鉛ガラスが、鉛のあの柔らかさ(展性が大きい?)という性質を引き継いでいるためか、引っ張りに強いような印象があります。とにかく、鉛ガラスは、安心感が大きいのです。
 ま、そんなこんな。
 ブルザイ社は、膨張率を、90にそろえた、いろんな色のガラスを、販売しています。
 板ガラスを使うことが多いです。
 この板ガラスを切った物などを、重ねて、電気炉で焼いてくっつける(フューズする)のが、フュージングです。
 以上、前置きでした。

 ブルザイ社には、プリティなピンクがあります。
 色番号、1215。
 色名、ライトピンクストライカー。
 透明色で、買った時は、赤色が発色しておらず、相方のごく薄いブルーだけが発色しているガラスです。

 昔から使っているこのガラスですが、久しぶりに買ったら、発色しませんでした。
 第一声は、「めっちゃきれい!」でした。
 たまたま、作っていたペンダントトップに、めっちゃ似合う、私好みの薄いラベンダー色だったのです。
 これはこれで。(^^)
 と思ったものの。
 これって、不良品?
 今までのピンクで、定番商品だって作っているんだからさ。
 ないと困るやん。

 という事件が発生しまして。

 そのペンダントトップが、こちら。
 一応、サンドブラストで、ちょっとした模様が入ってますが、ピンクを表にしてみると、模様が見えてない。

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 上が、色が出なかった、最近買ったガラス。
 下が、色が出ている、前から持っているガラス。
 どちらも、ブルザイ1215ピンクストライカーの薄板(1.6ミリ)です。

 って、問い合わせをしたら。
 ゆっくり温度を上げたら、色が出るという回答でした。

 もともと、アメリカからこのガラスを入れている、十條さんに、ウチが取引している(といっても、少量せこく買うだけの小口の客ですけど)パラダイスグラスの担当さんが、問い合わせてくれた時の回答でした。

 な~に~?
 何年、ライトピンクストライカー使うとる思てんねん!
 舐めとんか?
 ガー!!!
 と、吠えてしまいました。

 その後、パラダイスの担当じゃない人に、十條のブログに出てた気がするという話を聞いた。
 だったらということで、弟が、ゆっくり焼く商品の隣に、ちょこっと切れ端を入れたら、発色しました。
 出た。
 というか。
 これは、仕様の変更やんな。
 だったら、いつから仕様変更になったって、言ってよね。
 この経緯、絶対吠えるで。

 という訳で、パラダイスの子が教えてくれた、十條さんのブログと、パラダイスの担当シゲゾウ(?)氏のブログにリンクを張っときます。
 十條のブログ
 パラダイスのシゲゾウ氏のブログ

 パラダイスグラスの「夢工房」に、いろいろ習いに行っていた時からの知り合いのシゲゾウ氏、通常の担当さんと客よりは、言いたいことを言う間柄なため、私が吠えているのを聞かされて、とんだ災難でした。(^^;
 ↑シゲゾウ氏に吠えたというより、空に向かって、十條さんにむなしく吠えているところを聞かされた

 さて。
 ピンク。

 これは、サタケガラスにもありますね。
 通常色よりちょっとだけお高いピンクとか肌色とか、ずずっとお高いねりねりする金赤とか、こういうのは、金が発色剤として入っています。

 「コロイド発色」の赤です。

 以前、神戸のフェスで、ノーススター社を立ち上げてボロシリケイト用の色ガラスを開発したという、できる女性作家さんが、デモの折に、銀コロイド発色をきれいにさせる方法っていうのを、デモでされてました。
 ははあ。
 そういうことだったのか。
 ほとんど聞き取れない英語。
 ただ、手元のボロで作っておられるツボの温度と、手順と、発色と、たまに聞き取れる英語の単語で、何となく、合点が行った、そんなことがありました。

 良くある発色は、発色剤が、イオン化した時の色だったりします。
 こっちは、色が決まっているので、焼き方で変わったりしない。
 青系などが、安定的に発色しているのは、そのせいです。

 が、コロイド発色。
 これは、ちょっと違います。

 ガラスに、銀がとけこんだと思って下さい。

 金属状態では、大きな塊で、銀の原子同士が、手をつないだ大きな塊になっています。
 銀箔などは、薄っぺらいけど、原子との比較では、まあ、大きい。
 たくさんの銀原子が、金属状態で手をつないでいます。

 銀箔をガラスに張って、勢いよく焼くと、消えてしまいます。
 本当は消えてなくて、ガラスの中にとけこんだんです。
 この時、銀の原子は、手をつないでなくて、バラバラになって、ガラスの中に浮かんでいます。
 すごく小さい状態。
 たとえば、数個だけ、手をつないでいるかもしれない。
 でも、めっちゃ小さいんです。
 その時は、色が出ない。

 あの時のデモの説明を適用すれば。

 この、銀がとけこんだ玉(あ、玉だったんです)を、コテで転がします。
 温度が下がります。
 この、一回温度を下げるというのが、刺激になるようで。
 この後、きれいな火で、バリバリと柔らかくなるまで焼くのではなくて、硬くて暑い状態を長くキープし続けます。
 すると、ジワジワと、色が出て来ます。
 銀の厚み(まあ、溶け込んでいる所の濃度ですね)などにもよりますが。
 きれいな青、緑、黄色、嫌らしい黄土色と、色が変わって行きます。
 嫌らしい黄土色って、通訳の人が言ってたんだっけ。
 なんか、あの黄土色が、嫌いのようです。
 日本人は、結構好きな人が多いですけど。

 このじわじわの時に、何が起こっているのか?
 じわじわの時に、銀が寄り集まってきているんだそうです。
 手をつないで、少しずつ、大きな粒子を作って行っているんだったと思います。
 小さい銀が、バラバラでいると、色は見えません。
 が、大きくなると、光と干渉して、色が見えてくるのです。
 この大きさで、見える色が決まります。
 べたっと同じ色にならないのは、ある瞬間、大きな粒子、めっちゃ大きな粒子、やや小さな粒子などが、入り混じっているためです。
 さて。
 大きい粒子の色が気に入らなかったら、どうする?
 デモによると。
 めっちゃ焼いて、温度を上げると良いそうです。
 酸素バーナーなど、威力のあるバーナーならともかく、これが、もっと低温しか出ないバーナーだったり、せいぜい800度くらいまでしか上げない電気炉だったりしたら、もう、消すことができません。

 これが、コロイド発色です。

 じゃ、ブルザイのピンクは?

 るつぼの中で、金の原子が小さくがバラバラになっているはずです。
 このガラスで、板ガラスを作る。
 金が大きくなる時間が与えられないので、ピンクが見えてません。
 銀のように、一回ある程度低温にするという刺激が、金でも要るのかは分かりません。
 でも、板ガラスの製品にして、常温に冷やしたら、十分、低温ですもんね。
 その後、じわじわ焼く。
 で、ピンク発色。

 と、ここから考えると、前のピンクと、今のピンク、何が違うのか?
 前のは、じわじわの行程を、ある程度作ってあって、今のは、それがない。
 というのが一つの可能性。
 ああ。
 確かに、製造段階で、じわじわは、手間ですし、その分、価格に乗っかってきますよね。
 やめたのかしらん?
 自分でやってって。

 もう一つの可能性。
 銀コロイド発色も、薄銀の場合、一重のところよりも、二重になったところの方が、良く出ます。
 金、減らした?
 可能性はある。
 でも、それは仕方がない。
 電気の伝導率が、銅よりも高いので、精密機器の配線に使われて、スマホやガラケーやパソコンにも入っている。
 そんな貴重品の金を、ピンクを発色するなんてつまらない(?)目的に使えなくなる日が来るんじゃないか?と、金の地金の高騰を横目に見ながら、阿呆な妄想をしてしまった日もある。

 まあ、金の地金の高騰の昨今。
 価格を抑えるために、金を減らしたか、工程を減らしたか。
 そんなところかなあ。

 でもな。
 だったら、言ってよ!
 でござる。
 どこにって、ブルザイ社にですよ。
 説明が、足りてませんけど。

 でも、日本ほどの説明を期待しては、いけない物らしい。
 そもそも、パラダイスグラスだって、十條さんだって、そんな説明聞いてないもんね、きっと。
 もっとも、ブログの日付を見たら、今ごろ言うてる話です。
 ウチって、小口の客やもんね。
 その可能性も考えた。
 前に買ったのいつやったっけ?って、そんな話もしたし。

 と、そんな、ヘンテコな妄想に、パラダイスのシゲゾウ氏でない子を巻き込んでいた。
 「え~、ほんなら、残っている昔のピンクストライカー、ゆっくり焼いたらもっと濃くなるんかな?そしたら、薄めて使えたりして。」
 ↑ケチ
 いえ、ただの、妄想です。
 ジワジワの行程を減らしただけなら、濃くならないもんね。

 その後、ロペックスにも、ピンクストライカーを入手してもらった。
 ↑ここでも、小口の客なのに、ワガママいうて、すみませんです
 別ルートだったので、これは、元の発色をしました。
 古いロットだった可能性がある。
 すぐにピンクになってくれたら、便利です。

 そもそも、大きなオブジェみたいな作品を焼く人の場合、温度を上げたり、温度を下げたりするのに、どうしても時間がかかる。
 だから、意識されてない可能性がある。
 大物を焼くことだけを前提に考えたら、もともと、ジワジワの行程なんて、要らないってことになるもんな。
 金の高騰分を、工程を端折ることで、価格を抑えているのか?
 だとしたら、大物を焼く人には、その方がメリットが大きいことになるのか。

 こんな小っちゃいものを、素早く焼いて、さっさと温度を下げている、そんな、ガラスアクセサリーメーカーでなければ、関係なかったりもするのかも。

 800℃まで、一時間に110度ずつ上げて、10分キープ。
 焼き上げに、8時間くらいかかるやん。
 電気代、勿体ないやん。
 時間も。
 硬く焼きたいときは、どうしたらエエねん。
 まあ、何か対策を考えなくてはいけないってことですね。
 それもこれも、金の高騰のせい。
 時代ですなあ。(TT)
 ピンクが使えるうちは、文句は言ってはいけないのかも。
 ↑また、変な妄想中


 そうそう。
 生徒さんに、ピンクがまだらになったと、良く言われますが。
 サタケガラスの値上げ以来、説明がしやすい。
 ちょっと高い色と、ねりねりする金赤は、金の発色やから、温度を上げすぎたら、ピンクが一回消えるねん。
 「ほ~ほ~」
 「じわじわ焼いたら、戻って来るで」
 説明、早!
 ただ、じわじわは、意外と時間がかかる。
 いやいや、文句を言ってはいけない。
 大好きなピンクが、この世にある限り!

 またまた、長文でゴメン。
 お粗末でした。



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by glass-fish | 2014-09-26 23:41 | ガラスのウンチク