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とんぼ玉作家ガラスのさかなの「タワゴト日記」

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カテゴリ:ガラスのウンチク( 16 )

割れる?割れない?

 そういえば、数日前、このブログの記事のランキングに、熱の履歴⑤というのが入っていました。
 誰か、読んでくださったんですね。
 これを書いたのは、5年前だったようです。
 熱の履歴、長編になったのですが、興味ある方は、ぜひ、読んでみてください。
 こちら↓
 熱の履歴①

 この頃、割れる割れない話を、もう一度考えていました。
 割れる割れない話は、4つの要素に分解して考える必要があると思います。
 ①形状
 ②ガラスそのものの剛性
 ③溶着
 ④内部のひずみによる内部の応力

 ①については、同じ質の材料で、どの場所も均質であった場合、一か所弱い場所ができていないかという、純粋に形状の問題。
 ②については、同じ形状のもので、ガラスが違えば引っ張りなどの強度がどのくらい違うかという、ガラスそのものの強度。
 ③について言えば、素材のガラスが、均質な状態の強度を100としたとき、別々のガラスを解かしてくっつけた時、どのくらい良くなじんでいるかという問題
 ④について言えば、ある部分で、歪(ガラスの粗密のバラツキ)のために、内側に、引っ張り合ったり押し合ったりする力が働いてしまうという問題。

 で、ガラス作品を見た時、弱そうな場所というのが、数か所あります。
 くびれている所、ガラスをくっつけ合ったらしき所など。

 ガラスをくっつけ合った訳ではないけど、くびれているという場所の場合。
 まず、細いことで、形状的に弱い。・・・①
 さらに、細い所は、その両側の細くない部分よりも早く冷めるため、歪ができやすい。④

 ガラスをくっつけ合ったらしき所でくびれている場合は、さらに溶着がちゃんとできておらず、くっつけた境目のところで、分子レベルで手をつなぎ合っている数が少なく、弱くなる。③

 と、くっつけ合ってくびれている場所というのが弱いのは、弱くなる理由が、複数存在しているっていうことなんです。


 例えば、2つのガラスをくっつけました。
 溶着をちゃんとしようとする。
 そうすると、温度を一定以上に上げないと、分子レベルで、分子同士が手をつないでくれない。
 けっこうな高温にすると、分子レベルで良く手をつなぐ。
 そこそこ高温なら、ゆるっと手をつなぎ始めるので、しばらくその温度を維持しておいてあげると、かなり分子間で、手をつなぐ。
 とすると、本来、くびれなんて、そうそう残せないんですよね。
 なので、くびれの部分が、鋭くV字谷(これ、本当は、地理や地学の用語なんですよね)になっている場合、いったんくっつきあってしまったところにもう一回作為的に切り込みを入れて作ったV字谷でなければ、まず、溶着不良が疑われる。

 例えば、うちの弟が作っていたとんぼ玉本体にカメが乗っかっている玉の場合。
 玉とカメの境目は、良く見ると、割とくっきりとV字谷になっていました。
 大丈夫?と聞かれたら、大丈夫です。
 なぜなら、地玉のクリアガラスがドロドロになるまで溶かしてあって、電気炉で予熱したカメが乗っかっているから。
 ポイントは、地玉もカメも、そこそこボリュームがあるということ。
 境目がしっかり高温でくっつきあっているので、カメの側が熱くて硬かったとしても、地玉の熱が伝わって、カメの側も温度が高くなり、割と分子間で手をつなぎ合っているはず。
 地玉が高温でも、カメのボリュームがあるため、境目が高温でも、カメそのものが崩れることがないため、V字谷が残ります。
 そして、くっつきあっている部分の面積が広いので、その分強い。
 さらに、この完成品を、電気炉徐冷することによって、くっつきあった部分の周辺で起こる熱のムラによってできる歪をなくしているから。

 つまり。
 大きな物に細くて繊細な物がついている場合や、細いもの同士がつている場合では、くっついている部分にV字谷があるということは、温度が上がってなかった証拠なんですね。
 温度が上がると、細い部分が崩れれしまうはずですから。

 で、一か所こういうところを見つけたとする。
 良くつけた場所を、もう一回作為的に切り込みを入れているのか、最初から温度が上がってなくてくびれがくっきり残っているのかは、見れば大体分かります。
 作為的にコントロールして切り込んだのではない場合、そういうくびれを一つ見つけると、「割れそうだなあ」と、感じる訳です。
 なぜなら。
 そういう初歩的な、危険な個所を残してしまうということは、熱のコントロールそのものを、良く理解していない人が作ったという証拠な訳で。
 くびれているのは、くびれている場所だけの危険ですが、そこを残してしまうということが、他にも熱のコントロールが甘い個所がある可能性を、強く示唆しているからです。

 ただ。
 ガラスの種類によって、溶着の事情が違ってきます。
 物性の違いで、ちょこんとつけただけなのに、意外と良く手をつなぎ合っているらしいと感じるガラスもあるので。
 キナリのCシリーズなんかは、溶着が甘目かなあと思えても、意外とくっついている気がします。
 何故?
 熱の持ちが良いので、くっつけたときの一方が、相当柔らかく粘度が低い状態でくっつている場合。
 こういう感じというのは、分子間でもよく動いているんじゃないかなあと言う気がするからです。
 でも、確証がある訳ではなく、何となく、そんな気がするんです。

 そんな気がするようになった理由の一つは、ボロを使うようになってからかなあ。
 ボロは、内側に気泡が残った場合、それが不定型な物だったとき、外から必死で焼いても、焼いている個所から気泡までの厚みがそこそこあると、気泡が丸くなってくれない。
 焼いている表面が、相当な高温になっていても、気泡の位置までは、熱が届いていないような。
 届いていても、ガラスそのものが硬くて動きが悪い感じがして、表面を均すのにも、モールドに突っ込んで力技で均さないと、まだるっこしくて仕方ない。
 ということは、表面の形だけでなく、内部的にも、動きにくいんじゃないかなあという気がします。
 銀で、メタリックな部分ができて、それがクリアに挟み込まれた場合でも、メタリックな色のまま、割と残ってくれます。
 これって、ガラスが動いていない証拠のように見えるんです。
 ガラスが動いていれば、銀が、粒子状に散っても良いと思うんです。
 散ったら、コロイド状になるので、メタリックでなくて、霧や靄みたいになって行くはずで。
 ボロが、ドロドロになじんでいなくても、比較的割れにくいのは、もともとの強度が高いことと、膨張率が低いことで、歪による応力が、そんなに大きくならないからのような気がします。

 そうそう、モレッティは?というと。
 とても感じるのは、ガラスそのものの強度が弱いこと。
 サクいんです。
 これって、方言ですか?
 ウチの父が良く言っていた、サクい。
 粘りがないというか。
 板ガラスをダイヤホイールカッターで、スコアラインを入れて、パキッと割る時、ブルザイより割れやすい。ウロボロスは、硬かったです。
 他の、リンズ、ココモ、スペクトラム、フレモント、そのあたりのあらゆるガラスと比べても、楽に割れてしまう。
 一か所に力がかかった時の強度は弱いと思います。
 なので、溶着も徐冷も、しっかりやってあげないと、割れやすいと思います。
 そのモレッティで、大物や立体を作ってしまうイタリア人の巨匠の技術の確かさ!
 やっぱり、巨匠だと思います。

 まあね。
 どこまで?って話です。
 ただ。
 ルチオ・ブバッコや、ビットリオ・コンスタンティーニの仕事を見て、すごいと思う。
 そこに近づきたいと思う。
 そういう欲が、どのくらいあるのかは、人それぞれで。
 別にいいやっていう人がいても、それはその人の考え方だと思う。
 でも、上手くなりたいって努力して、上手くなれたら、嬉しいと思うけどなあ。
 そういううまい人が、一人でも多くこの世に存在する方が、何か嬉しいけどなあ。
 そういうすごい作品がこの世に一つでも多い方が、そしてそんな作品に出会えたドキドキ感を感じられる方が、何か、嬉しいし、世の中にはまだまだ素敵な物がたくさんあるんだと信じられた方が、世界が美しく見えるけどなあ。
 って、思う。
 私は、そう思います。

 最近、月に2回、とんぼ玉ミューアムへ、教室の先生をしに出かけます。
 そこには、ビットリオの作品もルチオの作品も、ローレンのすごいムリーニも、実物が飾られていて。
 めっちゃ、お宝。
 そんなものが、何気にある場所で。
 いつもいつも意識するわけではないけど、ふと、ぞくっと、震えが来る時があります。
 で、到達できない高い山を見上げて、世界はまだまだ広いと思う。
 簡単に到達できるほど世界が狭かったら、何か、つまらない気がする。
 ほんとに、奥が深いです。

 収拾がつかなくなって来たので、今日のところは、このへんで。(^^;


by glass-fish | 2018-06-11 02:10 | ガラスのウンチク

キュービックジルコニアを、ボロに入れてみた

キュービックジルコニアを、ボロシリケイトガラスに、入れてみました。
割れました。(笑)

a0163516_12071082.jpeg
何の笑いかというと。
ある意味、推測通りだったから。

キュービックジルコニアは、組成式が、ZrO2という、二酸化ジルコニウムの結晶です。
ネットで検索すると、熱膨張係数が、7.9〜11.0、単位は、「1℃につき、10のマイナス6乗」でした。
単位、どうやったら、数字の右肩の、小さい字が出せるか分からなかった‥
ガラス工芸の世界で使われている馴染みの書き方だと。
79〜110ということになります。
何で幅があるのかは、不明。
色など、含まれる不純物によるのか、同じもので、温度域で違うのか。
融点が、2700℃なので、酸素バーナーで作業して、溶けたボロガラスに触れても、溶け出したりはしない。

熱膨張係数が、ボロより大きいので、徐冷の際に、キュービックジルコニアの方が、ボロより、大きく縮み、ガラスと引っ張り合うはず。
その場合、中心に向かって引っ張られるボロは、むしろ割れにくいだろう。
ただ、キュービックジルコニアの方が、ボロに外に向けて引き裂くように引っ張られた時、キュービックジルコニアの強度が弱ければ、ジルコニアの方が、割れるかも知れない。
というのが、予想でした。
キュービックジルコニアには、クラックが入り、ジルコニアとボロの境目は、くっついていたのに、剥がれてしまっています。

予想通り。
でも、キュービックジルコニアに強度があったら、割れないかもという期待は、外れました。
まあ、そうやろうな。
オパールまで入れてみようと考えるアメリカ人が、キュービックジルコニアが入るなら、とっくに入れた作品が出回ってるよね。
と、変なところで、納得するのであった。

オパール、注文するか。
あ、オパールの組成を考えるとね。
と行きたいところですが、時間がないので、またの機会に書こうかな。


by glass-fish | 2018-01-18 12:04 | ガラスのウンチク

再び、銀コロイド発色

 またまた、本題の前に。

 4日前の、ランちゃん。
 「キノさんたちと、あたち」
 お!韻を踏んでしまった。(^^;

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 アカダマキヌガサタケが上下に並んで出てました。
 でも、雨に打たれて、茶色いクレバがかなり流れてしまったので、上半分が白くなってます。
 ちなみに、下側のアカダマキヌガサタケが、先日の「きのさんとあたち」の、きのさんです。

 そうそう。
 あんまり、アップが少ないのも、いかがなものかと思って、久しぶりにブログを書いてみて。
 ふと、右側のランキングを見て、一番下の「そうだったのか……」というタイトルが気になって、久しぶりに読みに行きました。
 あ、銀コロイドの話。
 読んでいると。
 ふと、ヒヤッとしてしまった。
 何か、あれからいろいろ調べてみるとね。
 どうも、あの時の記事は、正確さに欠けていた。
 というか、間違いを含んでいるだろう、多分・・・・・

 銀による青白い発色が、銀コロイドによるものというのは、本当。
 銀コロイドの粒子が、金属状態の銀であるということも本当。

 一方で、銅赤の銅コロイド発色は、酸化第一銅の結晶の粒々による物。
 酸化第一銅による発色は、酸化第一銅の結晶の色。

 さて。
 問題の、金属銀の粒々による、銀コロイドの美しいブルーは、なぜブルーなの?って話で。
 苦し紛れにいろいろ調べていると、突き当たったのが、「表面ブラズモン共鳴」という単語。
 銀コロイドが、ブルーに見えるのは、「局所的表面プラズモン共鳴(LSPR)」という現象によるのだそうだ。

 それを調べていたのは、ふく蔵さんが終わった直後。
 あのときは、ちんぷんかんぷんなりに、もうちょっと何か核心に迫ろうとしてたのに。
 今となっては、その時調べたのが何だったのか、さっぱり覚えていない。(^^;

 というのもまずいので、もう一回、調べに行きました。
 60ナノメートルの銀の粒子に、白色光を当てると、波長450ナノメートルの青い波長の散乱が見られる。
 のだそうだ。
 この粒子の直径を変えることで、散乱を、400(紫)~530(緑)ナノメートルに調整できるのだそうだ。

 前のブログを書いたときは、銀の粒子の直径と同じ波長の光が銀の粒子に吸収されるんだと思っていた。
 で、吸収されなかった色が見えると、思っていた。
 違った。
 青い光の波長は、銀の粒子の直径の7.5倍で、波長の方がはるかに大きい。

 「銀ナノ粒子は、粒子の大きさや形状に応じて、色を持ちます。光と銀ナノ粒子との強い関係は、特定の波長の光に励起された際に金属表面の伝導電子が集団的な振動を起こすためです。」
 って、何が起こってるん?

 何が起こっているかはともかくとして。
 銀ナノ粒子の挙動として調べられたグラフが出ていまして。
 10nm~40nmのサイズでは、波長400nm付近(青紫)の散乱が。
 60nmのサイズでは、波長450nm(青)の散乱が。
 100nmのサイズでは、波長540nm(緑)の散乱が起こるようだ。

 そして、複数のナノ粒子が凝集してくると、その表面で起こる表面プラズモン共鳴は個々のナノ粒子の共鳴よりも、より長波長側にレッドシフトすると、書かれている。
 レッドシフトって、カッコイイですよね。
 凝集してくると、緑よりも、もっと黄色く見えてくるということですね。

 という訳で、銀コロイドによって、紫~青~緑~黄土色の色の変化が起こる時の、銀コロイドの状態がどんな状態なのかは、分かりましたね。
 まあ、そういうことで、一応「スッキリ」ということにしておきましょう。


 銀による発色の玉に出る、光学的現象は、複数あると思います。
 金属銀のメタリックな色。
 金属銀のナノ粒子のコロイドによる発色。
 金属銀の発色の縁の部分に出る虹色。

 虹色が出るのは、薄膜の干渉による発色だと思っていた。
 今となっては、絶対と言い切れないのだけれど。
 比較的厚みがしっかりしているメタリック光沢の縁の部分に出て、虹色のグラデーションが見えるので、やはり、薄膜の干渉という現象が起きているのだと思う。
 もしくは、CDの溝に虹が見える、回折という現象。
 薄膜の干渉か回折という現象が起きているとすれば、薄膜の厚みが、青紫~青~緑~黄~橙~赤の可視光線の波長と、オーダー(桁)が同じくらいだということになる。
 紫の一番波長が短いところで、380nm。
 赤の一番波長が長いところで、750nm。
 銀ナノ粒子のコロイドの発色の時の粒々のサイズよりも、5~75倍分厚い世界で起こっていることになる。

 そんなこんなで。
 銀を使った発色の作品では、いろいろな部分の発色がどうやって起こっているのか類推する。
 それを起こすためには、どうコントロールすれば良いのか?
 それを、現象から類推する。
 そうすると、何となく、再現性が高くなって来る。
 再現性が高くなってくると、しめしめ。
 本当にそういう、類推に類推を重ねた物が、正しいかは別として。
 しめしめ。
 それは、ナイショ。
 教室の生徒さんには、もちろん、お話はしますが。
 「今の、良く分かりません」という反応が返って来ることも多いけどね。
 ここから先、知りたければ、ぜひ、お教室へ。
 今、生徒さんが減っていて、ガラガラなので、いつでも大歓迎です。(笑)
 でもって、どうしても、その時のマイブームの課題が多いので、ウチの教室は、今、銀箔課題三昧です。ほんまに。



 以下、余談なので、面倒な人はスルーしてね。

 そういえば、60ナノメートルの銀ナノ粒子って、60ナノメートルの間に、何個くらい銀原子が並んでいるんだろう?
 と、そんなアホな疑問が湧いて来た。
 金属銀は、面心立方格子構造で、格子定数が、4.0862オングストローム。
 面心立方格子の格子定数って、どのサイズ?
 ってことで、調べてみて。
 4.0862オングストローム=0.40862ナノメートル。
 並んでいる銀粒子の中心から中心までの距離は。
 0.40862×√2÷2≒0.28893ナノメートル
 ということは。
 60÷0.28893=207.657
 という訳で、計算がまちがってなかったら。
 銀粒子が、一番長いところで、207個くらいつながっている感じ?
 ホンマかな?

 直径60ナノメートルの球体の体積は。
 (4/3)×3.14×30×30×30=113040 立方ナノメートル
 格子定数が、0.40862ナノメートルの面心立方構造なので。
 一辺が0.40862ナノメートルの立方体の中に、銀原子が4個ある状態らしい。
 この立方体の体積は、0.40862の3乗なので、
 0.068227・・・・・・立方ナノメートル
 60ナノメートルの球体の体積の中に、この立方体が何個入るかというと。
 113040÷0.068227=1656822個
 この立方体の中に、銀原子が4個入っているので。
 1656822×4=6627288.3・・・・
 直径60ナノメートルの金属銀の球体の中には、660万個くらいの銀の原子が入っている。

 みたいな。
 計算合ってるかな?
 そういう粒子が、ガラスの中にたくさん浮かんでいると、波長が450ナノメートルの、青い色の光を散乱させる。


 余談でした。


 表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)
 実際には、どういう現象が起こっているのか?
 それが分からなくても、とんぼ玉の発色は起こる。
 でもでも、気になるんです。

 いろんなところの表面プラズモン共鳴の話を読んでいて。
 ちょっとだけ分かった気がする。
 銀の粒子の表面に、白色光が当たる。
 表面の伝導電子が励起される。
 伝導電子の励起って、どういうこと?
 ヘリウム、ネオン、キセノンなどの、原子単体でガスになっている物の励起の話は、学生の頃に聞いた。
 原子表面にある軌道電子が、一つエネルギーの高い軌道に引き上げられるという状態。
 でも、金属銀の塊の表面って、電子はどうなってるのん?
 それが励起されるって、どういうこと?
 まあ、本来いる場所からすると、エネルギーの高い状態の時にいる場所に引き上げられるということ?
ということは、表面の伝導電子に、光のエネルギーが受け渡される。
 それによって、電子が集団的に振動するらしい。
 どういう状態を、振動って呼ぶのか?
 特定波長の一つの光が、一つの電子を励起する。
 励起された電子は、入ってきた光と同じエネルギーを、そのまま放出して、エネルギーの低い、元の安定な状態に戻る。
 すると、その時放出された光が、隣の電子を励起する。
 それがまた光を放出して、元の状態に戻り、光がそのまた隣の電子を励起する。
 そういう状態が、金属銀のナノ粒子の表面を伝わって行くということか?
 そう考えると、何となく、納得がいく。
 だからこそ、ナノ粒子の表面で起こる、局所的表面プラズモン共鳴は、速やかに減衰するのか。
 表面が小さいからね。
 隣の原子に、光が当たると思いきや、ふと、向きが変わると、外へ出て行ってしまうっていうことだから。
 それが、散乱されるっていうことなのかな?
 そういうことなら、入って来た光と、放出されたときの光の向きが変わっているもんね。
 だったら、なぜ、銀の粒子の表面の形状や大きさで、散乱される波長が違うのか?
 「共鳴条件は、光量子(フォトン)の周波数が、正電荷の原子核の復元力に対して周期的に振動する表面電子の自然周波数と一致するときに達成される」
 と書かれていますが。
 表面電子の自然周波数って、何?
 正電荷の原子核の復元力って、何?
 やっぱり、良く分からん。(^^;

 気になる。
 でも、それが分からなくても、とんぼ玉の発色は、コントロールできるのだ!
 多分。(^^;


by glass-fish | 2017-07-09 03:55 | ガラスのウンチク

見た目で、判断

 さて問題です。

 このネコちゃん、売るのは、セーフでしょうか?アウトでしょうか?


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 答は、アウト。

 本体は、サタケガラスの透明青紫、虹彩の抹茶色、瞳孔の黒は、サタケの鉛ガラス、目の白、首輪の赤、カボチャの鈴のオレンジは、サタケのソーダガラスです。

 3枚目の画像の①~②、③~⑤の間が、馴染ませ方が不足です。
 断面は、こんな感じだと思う。↓


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 頭と体は、ちゃんとなじませてあり、そのなだらかなU字谷の底のところに、赤い線がついているべきところを、ちょっと体の方にずれてついています。
 この赤い首輪と青紫の本体がくっついているのが、ごく細い部分でだけついていて、この部分のくびれが、V字谷になっています。


 教室のデモで作ったのですが。
 本来なら、体、頭とつけて、首輪を巻いてから馴染ませ、耳、目、鈴、尻尾、耳の先端と作っていくべきところを・・・・・・
 体、頭、耳、目まで作った時に、首輪も欲しいねってことで、その次に首輪を巻き。
 首輪をあまりなじませようとしたら、目が溶けすぎてしまうので、十分馴染ませられなかったのです。
 「本番は、体、頭の次にね」と、説明はしたものの。

 U字谷になるまでは、馴染ませられなかったものの、それなりに悪あがきして馴染ませようとしたせいか、今のところ割れていませんが・・・・・・

 そういう製作過程を知らなかったとしても、溶着不良という見た目で、アウトです。


 話が、長くなりますが。

 割れそうで危ういのか?、安全そうなのか?、見た目で、どこまで分かるでしょう?

 見た目で、何を見ているのか?

 ①溶着ができている形状かどうか?
 ②物理的な強度がどのくらいの形状なのか?
 ③ひずみがたまりやすい形状かどうか

 ってところでしょうか。

 ①は、主に、溶着部分のくびれが、U字谷かV字谷かで、おおよそわかります。
 ちなみに、U字谷とV字谷は、地理の用語です。
 V字谷は、彫刻刀の三角等で掘ったような谷で、U字谷は、彫刻刀の丸刀で掘ったような谷。
 V字谷の場合は、溶着不良の可能性が高い。
 ↑赤い首輪みたいに

 ②は、極端に細いところは、内側に歪がなかったとしても、外からの衝撃に弱い、ということです。
 赤い首輪の部分は、溶着不良という弱さもありながら、本体とくっついている面積も小さいので、仮に、溶着不良でなかったとしても、外から何かが当たると、力が集中しやすく、衝撃に弱いということです。
 例えば、猫の尻尾も。他よりは確実に弱いけれど、ある程度の太さにしておくことでやや丈夫さは増します。
 ネコの耳の先も、物理的には、弱い場所です。

 ③は、早く冷める場所と、ゆっくり冷める場所の境目です。
 そう、ここでも、首輪の部分です。
 首輪の部分は早く冷めるし、本体はゆっくり冷める。
 首輪がある程度の面積で、本体にくっついていれば、その部分から熱が伝わり、首輪の部分と本体の部分の熱の差が、まだ幾分小さくなるはずですが、溶着不良の個所や、溶着後にくびれさせた場合でも、極端にくびれ部分が細いと、熱の伝わりが悪くなります。
 ネコちゃんの首輪で言えば、溶着不良の個所の、少し首輪に寄ったところが、歪が大きくたまる場所です。
 なので、内側では、分子同士が押し合ったり引き合ったりする応力というものが、強く働いていて、室温などの変化によるガラスの体積の変化や、振動などをきっかけに、強い衝撃なしに、内側から、クラックが入ってしまうことになります。

 たまたまというか、必然というか。
 ネコちゃんの首輪は、3重苦です。
 というか、赤がソーダで、青紫が鉛なので、赤があまり縮まないのに対して、青紫の方がより縮むという条件が、その上に重なるので、4重苦ですかね。
 まだ、割れずに頑張ってます。(^^;



 ところで。
 脱線しますが。
 2枚目の画像の、③の矢印は、いったい何をさしているのでしょう?
 そう。
 尻尾と、後頭部の空間です。
 教室のデモ時に、はっきりと明確に言わなかったので、後頭部としっぽをつなげてしまった人がいまして。
 その時に気づいて言ったため、他の人のネコちゃんの尻尾と後頭部は、繋がっていません。
 ここ、繋げると、割れやすい個所なんです。

 理由は、まず、溶着が不良になりやすいこと。
 どうしても、デザイン上、尻尾の付け根ほど、馴染ませない可能性が高いため。
 ということは、頭がゆっくり冷め、尻尾が早く冷めるので、歪が集中しやすくなる。
 なので、安易に、ブリッジを作ると、まず、割れるだろうなあと思う場所です。
 離しておく方が安全です。
 ブリッジにする場合、設置面積が小さくても、ある程度なじませて溶着をしておき、尻尾、頭、お尻周辺を、全体に焼き戻して、温度を近づけ、引っ張り合わないようにする方が良いと思います。
 さらに安全を期するなら、電気炉徐冷。

 このブリッジ(ここでは尻尾)が、細ければ、細いほど、見た目で、割れると直感的に感じます。
 まず、物理的に、細いから弱い。
 次に、より細いと、頭や体より、より冷めが早いので、歪ができやすい。
 さらに、細いブリッジの頭などの塊とつながった部分は、今度は、塊である頭が暖まりにくいため、溶着のために焼いていると、溶着のための部分が温まる前に、ブリッジの真ん中が、加熱して溶ける可能性があるため、もともと、溶着しづらいのです。
 ピンポイントで焼ける酸素バーナーだと、違ってきますが、集中炎であってもエアバーナーは、どうしても広い範囲に熱がかかるためです。

 という訳で、「細いブリッジ=あまり熱がかかっていない」可能性が高いと、見て取れるわけです。
 熱があまりかかっていないということは。
 溶着不良、内部の部分的な冷めなど、いろいろ、割れる要因が背後に潜んでいると推測されるわけです。


 と、ここまで、見た目で推測して来ました。
 そして。

 ④溶着不良、細いブリッジなど、あまり熱をかけずに作ったか所が見受けられる場合
  ⇒細部の剥がれだけでなく、本体の大きな部分に歪ができている可能性も考えられる
  ⇒割れるリスクを、あちこちに抱えている可能性がある
  ⇒売ることに関しては、不安が多い

 という訳で。
 見た目で、こんなことを、推測できるのでした。


 さて。
 またまた、こんな辛気臭い話を書いたのは、いったい・・・・・・

 先日、こういう割れるかどうかとか、売って大丈夫かとか、珍しく律儀な感じで書かれたものを見たから。
 そう。
 やっぱり、そうやんな。
 って、思った。

 安全性という意味では、球体であるとんぼ玉を、売って良いレベルになるのは、比較的早いと思う。
 でも、立体または球体に突起が出た物は、安全面では、もっとずっとハードルが高い物だと思っています。

 じゃ、どこで、売って良いと、自分なりに判断するのか?
 それは、いっぱいデータを入れて、自分の作品を見て、作った物が割れないか確認して。
 自分で判断するしかありません。

 なので、チャンスがあれば、そして日程が合えば、いろんな人のデモを見て来ました。
 ビットリオ・コンスタンティーニ、ルチオ・ブバッコ。(モレッティ)
 網野篤子さん。(サタケ)
 ジェニファー・エンフレス。(モレッティから初めて、ボロで製作する人)
 ウェスリー・フレミング。(モレッティ)
 など。
 で、また、他のチャンスがあったら、見に行くんだろうなあ。



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by glass-fish | 2015-06-12 02:16 | ガラスのウンチク

ウミウシ玉の運命は・・・・・・

 先日作ったウミウシ玉3個。
 1個割れてしまいました。

 抜いてすぐには、割れなかったものの、ほんの数分後に、割れてました。
 今回は、どの順番に作ったのか、ちゃんと分かってます。

 大体、見えて来ました。
 割れた理由。

 ①大きな塊であること
  やや扁平な物は、まだ、熱が逃げやすいため、結構大丈夫でしたが・・・・・・
 ②最後に入れた玉
  大きさに対して、徐冷の時間が足りなかった可能性が高いです
  念のため、2時間、キープしたのですが・・・・・・もうちょっとキープする温度を上げた方が良いのかも
 ③穴からの距離が大きい玉であること
  以前、とある人が、うまいこと表現されていましたが
  チクワとドーナッツ。
  チクワ状の玉は、大きくても、穴からの距離が短いので、大丈夫そう
  でも、穴の小さなドーナッツの方は、危険かも

 という訳で。
 徐冷の温度を上げて、徐冷の時間を、さらに長めにとるべきのような気がします。

 ただ、キナリのCシリーズで、スモモ大のサイズの物は、リスキーな気がします。

 一般論ですが。
 モレッティとブルザイを、ガラスカッターを使って割ってみると、モレッティの方が、脆いです。
 同じ膨張率90のガラスでも、ブルザイとウロボロスでは、ウロボロスの方が、硬く割りづらい。
 それでも、膨張率は、大きい物の方が、脆い気がします。
 融点を下げるために、珪素の結合をより多く切っているからだと思います。

 ただ、鉛ガラスは、例外中の例外です。
 ものすごくアバウトな徐冷でも、基本的な条件さえクリアしていれば、あまり割れることはありません。
 以前、どこかのレクチャーで聞いたのですが。
 ↑多分、あの人のレクチャーだったんだろうな~と思うけど、うろ覚えなので、書けません(^^;
 鉛ガラスは、鉛が珪素の接続の中に入り込んで、珪素と混ぜ混ぜになって手をつないでいるんだそうです。
 ソーダガラスなんかだと、珪素の接続がとぎれとぎれなので、融点が低いイメージですが。
 鉛ガラスは、多分、鉛が入り込み、鉛の融点が低いという物性を引き継いでいるから、融点が低いようです。
 ということは・・・・・・
 鉛は、相当展性が高いです。
 なので、その性質を引き継いでいれば、引っ張りに対して柔軟なんだと思います。
 この辺は、推測です。

 鉛ガラスを捨てられないのは、この安心感と、足の長さと、程よい粘り気。
 あ、それと、すごく大きいのは、不透明度がとても高い白があること。
 水中花パーツを作るにも、水中花を埋めるにも、とても便利な性質で、水中花パーツの水中花玉は、やっぱり、サタケの鉛ガラスが一番良いです。
 ↑個人の感想です
 水中花パーツ、日本人は得意ですが、あんまりアメリカ人で作る人がいないのはきっとそのせい。

 あ、ちなみにモレッティは、不透明度の高い白がありません。
 そういえば、初めて書きますが。
 ↑長らく企業秘密にして来た
 どうしても、というときには、モレッティ用のエナメルの白を使います。
 ただ、発色剤が多いためだと思いますが、不透明度は抜群に高いのですが、ちょっと暖めすぎるとすぐ泡をふくし、やたら割れやすい。
 ランマガ18号で、短く切った花パーツ(大きい物)を、電気炉で予熱して、クリアガラスに付けてから片側をつぼめていますが。
 これは、もともと、エナメルの白を使ったモレッテイの花パーツが、あまりに割れやすかったため、考え出した苦肉の策だったのです。
 だったら、それを応用したら、サタケガラスで、大きな花を埋めることができるもんね、と思ったから。
 通常の、パステルホワイトを使って花パーツを作ろうとすると、かなり厚め花弁にする必要性があります。
 もしくは。
 アイボリーを使います。
 が、透明の水色とアイボリーと一緒に使うと、アイボリーが黒変します。
 なので、相方を選びます。
 という訳で、いきなりモレッティで水中花パーツを作ろうとすると、挫折が多いんだと思います。
 日本人で、めっちゃきれいにモレッティの水中花を作っている人がいますが、サタケでやるより、苦労は多かったのでは?と思います。

 まあ、そんなこんなで。
 モレッティと、サタケと、キナリを、未だ渡り歩いています。
 キナリガラスのCシリーズは、クリアがきれい。
 白い靄も入らないし、脈理も出にくい。
 ただ、脆い。
 全てを満たすガラスは、基本的にないんだと思います。

 ああ。
 海玉、今構想中のは、何で作ったら良いんだろう?
 キナリで海物を作る時、ちょっと、作戦を変更しようかなあと考え中です。
 今回の神戸が終わったら、ちょっと次までのんびりできるので、次までに形にできたら良いなと思うこのごろです。

 あ、ウミウシ玉、2個、今のところ無事です。
 最初に作った2個なので、相当長時間、電気炉の中にいた物です。
 このまま、無事にいてくれないかなあ。


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by glass-fish | 2015-05-01 23:49 | ガラスのウンチク

ストライクするピンクの話

 ガラス工房アクアグリーンは、「フュージング」という方法で、ガラスのアクセサリーを作っています。
 とんぼ玉を作るようになる前から、小さなものを作っています。

 とんぼ玉は、バーナーでガラスを溶かしますが、フュージングは、電気炉でガラスを溶かします。

 あ、ちょっと脱線しますが。
 どんなガラスもですが、膨張率というものが同じガラス同士を使わないと、割れてしまいます。
 とんぼ玉で使う、鉛ガラスというのは、フュージングや吹きガラスの世界で使うガラスとは、感覚的に違いがあります。
 とんぼ玉を始めて、驚いたのですが、出来上がったとんぼ玉を、冷めないうちに徐冷材に突っ込んでおけば、そこそこな感じの徐冷で、とんぼ玉、特に鉛ガラスで作ったとんぼ玉は、割れないというのに、オドロキだったなあ、昔。
 ということは。
 他のガラス工芸では、もっと、割れやすいってことなんです。
 フュージングでよく使う板ガラス、アメリカのブルザイ社などが有名です。
 このメーカーのガラスの膨張率は、90(90×10のマイナス7乗/℃)で、ソーダガラスです。
 鉛ガラスよりは、かなり膨張率は小さい。
 同じソーダガラスのモレッティ(膨張率104)より、少し小さい。
 この、14の違いがあれば、一緒に焼くと、割れます。
 ところが、サタケの鉛ガラスとソーダガラスは、このくらいの膨張率の差はありますが、鉛ガラスの表面に、ごく少量点うちをするくらいなら、割れません。
 これは、鉛ガラスが、鉛のあの柔らかさ(展性が大きい?)という性質を引き継いでいるためか、引っ張りに強いような印象があります。とにかく、鉛ガラスは、安心感が大きいのです。
 ま、そんなこんな。
 ブルザイ社は、膨張率を、90にそろえた、いろんな色のガラスを、販売しています。
 板ガラスを使うことが多いです。
 この板ガラスを切った物などを、重ねて、電気炉で焼いてくっつける(フューズする)のが、フュージングです。
 以上、前置きでした。

 ブルザイ社には、プリティなピンクがあります。
 色番号、1215。
 色名、ライトピンクストライカー。
 透明色で、買った時は、赤色が発色しておらず、相方のごく薄いブルーだけが発色しているガラスです。

 昔から使っているこのガラスですが、久しぶりに買ったら、発色しませんでした。
 第一声は、「めっちゃきれい!」でした。
 たまたま、作っていたペンダントトップに、めっちゃ似合う、私好みの薄いラベンダー色だったのです。
 これはこれで。(^^)
 と思ったものの。
 これって、不良品?
 今までのピンクで、定番商品だって作っているんだからさ。
 ないと困るやん。

 という事件が発生しまして。

 そのペンダントトップが、こちら。
 一応、サンドブラストで、ちょっとした模様が入ってますが、ピンクを表にしてみると、模様が見えてない。

a0163516_2248354.jpg


a0163516_22491471.jpg


 上が、色が出なかった、最近買ったガラス。
 下が、色が出ている、前から持っているガラス。
 どちらも、ブルザイ1215ピンクストライカーの薄板(1.6ミリ)です。

 って、問い合わせをしたら。
 ゆっくり温度を上げたら、色が出るという回答でした。

 もともと、アメリカからこのガラスを入れている、十條さんに、ウチが取引している(といっても、少量せこく買うだけの小口の客ですけど)パラダイスグラスの担当さんが、問い合わせてくれた時の回答でした。

 な~に~?
 何年、ライトピンクストライカー使うとる思てんねん!
 舐めとんか?
 ガー!!!
 と、吠えてしまいました。

 その後、パラダイスの担当じゃない人に、十條のブログに出てた気がするという話を聞いた。
 だったらということで、弟が、ゆっくり焼く商品の隣に、ちょこっと切れ端を入れたら、発色しました。
 出た。
 というか。
 これは、仕様の変更やんな。
 だったら、いつから仕様変更になったって、言ってよね。
 この経緯、絶対吠えるで。

 という訳で、パラダイスの子が教えてくれた、十條さんのブログと、パラダイスの担当シゲゾウ(?)氏のブログにリンクを張っときます。
 十條のブログ
 パラダイスのシゲゾウ氏のブログ

 パラダイスグラスの「夢工房」に、いろいろ習いに行っていた時からの知り合いのシゲゾウ氏、通常の担当さんと客よりは、言いたいことを言う間柄なため、私が吠えているのを聞かされて、とんだ災難でした。(^^;
 ↑シゲゾウ氏に吠えたというより、空に向かって、十條さんにむなしく吠えているところを聞かされた

 さて。
 ピンク。

 これは、サタケガラスにもありますね。
 通常色よりちょっとだけお高いピンクとか肌色とか、ずずっとお高いねりねりする金赤とか、こういうのは、金が発色剤として入っています。

 「コロイド発色」の赤です。

 以前、神戸のフェスで、ノーススター社を立ち上げてボロシリケイト用の色ガラスを開発したという、できる女性作家さんが、デモの折に、銀コロイド発色をきれいにさせる方法っていうのを、デモでされてました。
 ははあ。
 そういうことだったのか。
 ほとんど聞き取れない英語。
 ただ、手元のボロで作っておられるツボの温度と、手順と、発色と、たまに聞き取れる英語の単語で、何となく、合点が行った、そんなことがありました。

 良くある発色は、発色剤が、イオン化した時の色だったりします。
 こっちは、色が決まっているので、焼き方で変わったりしない。
 青系などが、安定的に発色しているのは、そのせいです。

 が、コロイド発色。
 これは、ちょっと違います。

 ガラスに、銀がとけこんだと思って下さい。

 金属状態では、大きな塊で、銀の原子同士が、手をつないだ大きな塊になっています。
 銀箔などは、薄っぺらいけど、原子との比較では、まあ、大きい。
 たくさんの銀原子が、金属状態で手をつないでいます。

 銀箔をガラスに張って、勢いよく焼くと、消えてしまいます。
 本当は消えてなくて、ガラスの中にとけこんだんです。
 この時、銀の原子は、手をつないでなくて、バラバラになって、ガラスの中に浮かんでいます。
 すごく小さい状態。
 たとえば、数個だけ、手をつないでいるかもしれない。
 でも、めっちゃ小さいんです。
 その時は、色が出ない。

 あの時のデモの説明を適用すれば。

 この、銀がとけこんだ玉(あ、玉だったんです)を、コテで転がします。
 温度が下がります。
 この、一回温度を下げるというのが、刺激になるようで。
 この後、きれいな火で、バリバリと柔らかくなるまで焼くのではなくて、硬くて暑い状態を長くキープし続けます。
 すると、ジワジワと、色が出て来ます。
 銀の厚み(まあ、溶け込んでいる所の濃度ですね)などにもよりますが。
 きれいな青、緑、黄色、嫌らしい黄土色と、色が変わって行きます。
 嫌らしい黄土色って、通訳の人が言ってたんだっけ。
 なんか、あの黄土色が、嫌いのようです。
 日本人は、結構好きな人が多いですけど。

 このじわじわの時に、何が起こっているのか?
 じわじわの時に、銀が寄り集まってきているんだそうです。
 手をつないで、少しずつ、大きな粒子を作って行っているんだったと思います。
 小さい銀が、バラバラでいると、色は見えません。
 が、大きくなると、光と干渉して、色が見えてくるのです。
 この大きさで、見える色が決まります。
 べたっと同じ色にならないのは、ある瞬間、大きな粒子、めっちゃ大きな粒子、やや小さな粒子などが、入り混じっているためです。
 さて。
 大きい粒子の色が気に入らなかったら、どうする?
 デモによると。
 めっちゃ焼いて、温度を上げると良いそうです。
 酸素バーナーなど、威力のあるバーナーならともかく、これが、もっと低温しか出ないバーナーだったり、せいぜい800度くらいまでしか上げない電気炉だったりしたら、もう、消すことができません。

 これが、コロイド発色です。

 じゃ、ブルザイのピンクは?

 るつぼの中で、金の原子が小さくがバラバラになっているはずです。
 このガラスで、板ガラスを作る。
 金が大きくなる時間が与えられないので、ピンクが見えてません。
 銀のように、一回ある程度低温にするという刺激が、金でも要るのかは分かりません。
 でも、板ガラスの製品にして、常温に冷やしたら、十分、低温ですもんね。
 その後、じわじわ焼く。
 で、ピンク発色。

 と、ここから考えると、前のピンクと、今のピンク、何が違うのか?
 前のは、じわじわの行程を、ある程度作ってあって、今のは、それがない。
 というのが一つの可能性。
 ああ。
 確かに、製造段階で、じわじわは、手間ですし、その分、価格に乗っかってきますよね。
 やめたのかしらん?
 自分でやってって。

 もう一つの可能性。
 銀コロイド発色も、薄銀の場合、一重のところよりも、二重になったところの方が、良く出ます。
 金、減らした?
 可能性はある。
 でも、それは仕方がない。
 電気の伝導率が、銅よりも高いので、精密機器の配線に使われて、スマホやガラケーやパソコンにも入っている。
 そんな貴重品の金を、ピンクを発色するなんてつまらない(?)目的に使えなくなる日が来るんじゃないか?と、金の地金の高騰を横目に見ながら、阿呆な妄想をしてしまった日もある。

 まあ、金の地金の高騰の昨今。
 価格を抑えるために、金を減らしたか、工程を減らしたか。
 そんなところかなあ。

 でもな。
 だったら、言ってよ!
 でござる。
 どこにって、ブルザイ社にですよ。
 説明が、足りてませんけど。

 でも、日本ほどの説明を期待しては、いけない物らしい。
 そもそも、パラダイスグラスだって、十條さんだって、そんな説明聞いてないもんね、きっと。
 もっとも、ブログの日付を見たら、今ごろ言うてる話です。
 ウチって、小口の客やもんね。
 その可能性も考えた。
 前に買ったのいつやったっけ?って、そんな話もしたし。

 と、そんな、ヘンテコな妄想に、パラダイスのシゲゾウ氏でない子を巻き込んでいた。
 「え~、ほんなら、残っている昔のピンクストライカー、ゆっくり焼いたらもっと濃くなるんかな?そしたら、薄めて使えたりして。」
 ↑ケチ
 いえ、ただの、妄想です。
 ジワジワの行程を減らしただけなら、濃くならないもんね。

 その後、ロペックスにも、ピンクストライカーを入手してもらった。
 ↑ここでも、小口の客なのに、ワガママいうて、すみませんです
 別ルートだったので、これは、元の発色をしました。
 古いロットだった可能性がある。
 すぐにピンクになってくれたら、便利です。

 そもそも、大きなオブジェみたいな作品を焼く人の場合、温度を上げたり、温度を下げたりするのに、どうしても時間がかかる。
 だから、意識されてない可能性がある。
 大物を焼くことだけを前提に考えたら、もともと、ジワジワの行程なんて、要らないってことになるもんな。
 金の高騰分を、工程を端折ることで、価格を抑えているのか?
 だとしたら、大物を焼く人には、その方がメリットが大きいことになるのか。

 こんな小っちゃいものを、素早く焼いて、さっさと温度を下げている、そんな、ガラスアクセサリーメーカーでなければ、関係なかったりもするのかも。

 800℃まで、一時間に110度ずつ上げて、10分キープ。
 焼き上げに、8時間くらいかかるやん。
 電気代、勿体ないやん。
 時間も。
 硬く焼きたいときは、どうしたらエエねん。
 まあ、何か対策を考えなくてはいけないってことですね。
 それもこれも、金の高騰のせい。
 時代ですなあ。(TT)
 ピンクが使えるうちは、文句は言ってはいけないのかも。
 ↑また、変な妄想中


 そうそう。
 生徒さんに、ピンクがまだらになったと、良く言われますが。
 サタケガラスの値上げ以来、説明がしやすい。
 ちょっと高い色と、ねりねりする金赤は、金の発色やから、温度を上げすぎたら、ピンクが一回消えるねん。
 「ほ~ほ~」
 「じわじわ焼いたら、戻って来るで」
 説明、早!
 ただ、じわじわは、意外と時間がかかる。
 いやいや、文句を言ってはいけない。
 大好きなピンクが、この世にある限り!

 またまた、長文でゴメン。
 お粗末でした。



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by glass-fish | 2014-09-26 23:41 | ガラスのウンチク

熱の履歴・・・・・・おまけ

 長々、読んでいただいたみなさま、ありがとうございました。

 文章のボリュームの割に、大急ぎで書いたので、何かと不備がある可能性は、大です。
 お気づきのことなどは、また、メールで、お知らせください。



 そう。
 書いていて気付いたのです。

 巨匠、ルチオ・ブバッコ氏のデモの時。
 溶着後、延々焼いておられた。
 長い長い時間。
 それは、もしかして、徐冷点での歪が取れる時間、15分が目安だったんだろうか?
 今頃になって、聞いてみたい気がします。
 どのあたりにまで熱を伝えることを想定して焼いておられたのかも。
 何か、質問はありませんか?という、質疑応答時。
 そんなことは、微塵も浮かびませんでした。

 が、仮に、あのデモの時の記録を、DVDなどで販売されるようなことがあったとしても、きっと、あの、延々焼き続けるところは、カットされているに違いありません。

 あのデモでは、燭台を、一日で作られた。
 でも、本当は、中間物の徐冷などを何度もするので、本当なら、一週間かけてやる仕事だと、おっしゃっていた。
 なので、最後まで割れずにできるかわからないと。
 巨匠にとっても、綱渡りなデモだったということらしいのです。

 この頃意識するようになった、必然的な時間というもの。
 それを少しでも感じることができるのは、やはり、デモを見せていただくというのが、一番の方法だと思います。
 お仕事の邪魔だろうし、そうやすやすと、実際のお仕事を拝見するわけには、行かないでしょうし。

 デモを拝見していても、その作業の中にぎっしり詰まっているノウハウの、一部しか見えていないのだろうと思います。
 自分のレベルのところまでしか、見ることができないはずだから。
 それでも、何かは伝わってきます。

 この頃、企画しても、デモンストレーションに、あまり人が集まらないと、とある方が、嘆いておられました。
 ホンマに。
 もったいない話です。
 学ぶべきものは、たくさんあるはずなのに。

 そんな貴重なチャンスがあれば、ぜひ、参加されることを、お勧めします。
 
by glass-fish | 2013-07-06 00:45 | ガラスのウンチク

熱の履歴・・・・・・その⑥

 その⑤から続きます。

 話は、またちょっと変わります。

 教室で、くまの顔よりも、もうちょっと立体らしい立体を作った時のお話です。

 同じ工程を経て作ったはずの立体ですが。
 不思議なもので、年数の長い人たちの作った立体は、割れずに生き残り、年数の短い人たちの作った立体は、徐冷材に入るまでは大丈夫でも、冷める段階や、冷めた後で、割れるものがありました。
 もちろん、年数が短くても、割れてない人もいましたが。
 こてこてと長時間触らないほうが良いよとか、時々全体を温めてねとか、溶着はしっかりやってねとか、最後に全体を温めて、できるだけ均等な温度に近づけてねとか。
 必要と思われるところは、説明してあったのですが。
 何が違うんだろう?
 これも、しばらく、何でか、考えていました。

 絶対とは言えないのですが。
 おそらく・・・・・・
 熱くすべきところを、熱くできていること。
 形をとるだけであれば、やや低温の方が、ガラスがくたくたしないので、簡単です。
 でも、様々な必然性から、熱くするほうが良い局面が、いろいろあります。
 そこを、しっかり熱くできている。
 それに、単に熱くなってしまったのではなくて、やや低い温度で付けたものを、じわじわ、必要な熱さまで、温度を上げていくようなコントロールもできている。
 どうも、そこら辺の違いのような気がしてきました。
 年数の長い人たちは、決して、立体を練習してきたわけではありません。
 立体でないもので、コントロールが、ある程度身について来たのだろうと思います。


 私自身は、立体に関しては、まだまだ、小さいもので十分です。
 いえ、ずっと小さくて良いかも知れません。
 なんてったって、くまの顔から始まって、まだ、やっとパンダダルマハゼですし。
 ↑パンダダルマハゼさん、割れないでね。(TT)
 でも、散々だったハタタテハゼの時には、立体は、手を出さないくらいに考えていたけれど。
 パンダダルマハゼに到達できて、とても幸せです。
 ヤノダテハゼ!とか、どっかから声が聞こえてきたけど。
 いや、尾びれが……(^^;
 誰か、作ったら、下さい。
 そして、まだまだ、夢は続くのだ。


 このごろ、いろんな出来事で、ことあるごとに、意識することがあります。
 それは、時間というもの。

 例えば、編み物だったら、工程さえ間違えなければ、手を動かす速さが、早くても遅くても、同じ完成品に到達できる可能性がある。
 パソコン作業も、操作の手順さえ間違えなければ、同じ結果が出る。
 ↑ネット通販時に、人気商品を買いたいときなどは、違う結果になることもあるか(^^;

 でも、ガラスは、どうしても、待つべき時間は、待たないといけないことが多い。
 ガラスをしっかりよく溶かすときや、柔らかい部分が固くなってから作業したいとき。
 くっつけたものを、形を崩しすぎずに程よくなじませるために、低温でじわじわ焼くとき。
 それに、早さを要求されるときも、もちろんある。
 すぐに冷めてしまうような部分を、素早く変形させる時。
 それは、作り手の都合ではなくて、ガラスの物性の必然性が、そうさせる。
 小さな部分は、暖まるのも冷めるのも早く、大きな部分は、暖まるのも冷めるのも遅い。 
 徐冷で、温度を均等にしたいときも、大きければ大きいほど、時間はかかる。
 巨匠の作業に至っては、あの形を作るためには、あれだけの熱が必要で、それには、あれだけの時間がかかる、そこは、避けて通れない。
 そんな、熱の変化のシミュレーションは、時間軸の中で、ダイナミックに行われている。

 カワセミを待つのにも、時間はかかるけど。
 ガラスに関しては、そこまで予測不能ではなく。
 このガラスに、この炎で、どれだけの熱を与えて、どれだけ空気中で冷まして。
 瞬間的な熱さや冷たさだけではない。
 時間軸の中で、どんなふうに、熱を加えたのか、その履歴を頭の中に置いて、シミュレーションをする。
 そういう作業なんだなあと、思う。

 あ、無理やり、タイトルに結び付けられたかも。(^^;

 で、割れないためには?

 大きなものは作らない。
 溶着をちゃんとする。
 徐冷をちゃんとする。
 ↑せめて、炎による焼き戻しで、熱の差を均す
 徐冷に関しても、大きな塊と、小さな部分の組み合わせは、要注意。

 と、なんだか、途中が壮大になった割には、どこかで聞いたような結論に……
 でも、その背後には、壮大な背景が……
 ↑くどい!

 で、やっぱり。
 大きなものは、作らないのだ!
 ↑ヘタレな感じで、終わってみました(^^;


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 迷惑なくらい、長かったですが……(^^;

 そんなこと、知ってる!って、思われた方も、おられたでしょう。
 そもそも、まだパンダダルマハゼな私が、書くこと自体、おこがましい気もしたのです。
 でもま。
 何かの参考にしていただけた方がおられたら、幸いです。
by glass-fish | 2013-07-06 00:29 | ガラスのウンチク

熱の履歴・・・・・・その⑤

 その④からの続きです。

 では。
 小さいお話に、戻しましょう。
 ほっ。(^^;


 教室では、簡単な立体を作るとき。
 たとえば、くまとか、カエルとか。
 それに、くまの耳や、カエルの目玉の突起を付けることになります。
 まず、やや大きめの点を付ける感じで、ガラスを付けます。
 で、溶着をちゃんとできるように、突起を焼きます。
 最初、ガラスを付けたとき、大きい球に、小さい球がついていて、その接続部分が、くっきりくびれたV字谷になっていますが。
 この小さい球を、柔らかいうちにどんどん焼いて、接続部分のくびれがなだらかになって、V字谷が、U字谷くらいになったら、まず、OK。
 溶着はできたし。
 細いくびれは、少しは太くなったし。
 本体と突起の熱の差は、少しなじんだはずだし。
 そんな工程を積み重ねつつ、冷めすぎて割れることがないように、時々全体を軽く温めてあげ。
 完成した時に、やはり、熱のばらつきが少しでも少なくなるように、遠火でじわじわっと焼きます。
 と。
 ここまで、やってもらっています。

 デザインの必然性から、突起のくびれがくっきりしたものを作りたいんだ!
 と言われたら。
 仕方がないなあってことで。
 一回、焼いてなじませた後に、ハサミとか、カッターナイフとかを使って、くびれを入れなおします。
 が、くびれは、ハサミやカッターによって、局所的に、急冷されたことになります。
 なので、一回道具などで触ったところは、じわじわあっためておきます。
 でも、くびれがめっちゃ細い物は、お勧めしてません。
 自己責任でひとつ・・・・・・
 割れる恐れがある場合、知ってる人に渡すなら、一応、説明しておいてねってことで。
 ↑本当に誰かにあげるのか、説明しているのか、そこは・・・・・・

 後で入れたくびれがめっちゃ細い場合。
 先にしっかり溶着してれば、溶着には問題ないのですが。
 強度的にも、でこぼこの細引きでも、細いところを折ろうとしても、やすりで線を入れない限り、そんなに簡単に折れはしないのですが。
 いくつか問題が生じます。
 くびれの両側の部分の片側が大きく、片側が小さいとき、接続部分が小さくて熱が伝わりにくいため、小さい側が先に冷めてしまい、歪につながる可能性があります。それに、先に冷めてしまって、割れてしまう恐れも。
 くびれの両側の塊が冷める時、それよりも早く、くびれの部分が冷まされます。
 くびれに、歪が集中的にできる恐れがあります。
 さらに、くびれの両側に、タルミのようなものができてしまっていれば。
 タルミの先端が、早く冷まされてしまって、ここが割れてしまう恐れも考えられます。
 くびれがちいさい雪だるまと、くびれが大きい雪だるまでは、くびれがちいさい雪だるまの方が、強いて言えば球体に近く、まだ、いくらかは均等に冷めていくはずです。

 くびれの部分がかなり細い繊細な状態の時は、電気炉に入れて、徐冷をすることを、お勧めします。
 で、くびれがちぎれるような、強い力が働かないことを祈りましょう。
 ひもの長いストラップの先に吊るされていて、携帯を持った時に、振り込みたいに揺れて、硬い壁に激突してしまったとか。

 そんなわけで。
 V字谷のくびれが、嫌いです。
 たとえば、細引き状や、レース棒が、本体との接続部分が、なじまず、くびれて表面に乗っかっているものなども。
 どうしても、デザイン上、必然的に、なじませたくない、くびれさせたい。
 だから、なじまないぎりぎりの温度で、結構長時間、接続部分を温めて、ちょっとでもくっつくようにしてあるし、最終的には、長時間、徐冷をしてある。
 そんな場合もあるのかも。
 ないとは言えません。
 でも、それほどの必然性がない限り、くびれは、作りません。

 と考えていた私ですが。
 たとえば、先に作った立体を電気炉で予熱しておき、それを、とんぼ玉の表面に、立体のまま貼り付けたい時。
 地玉は、柔らかくします。
 立体は、硬くてあったかい状態にして、地玉に乗っけます。
 この立体と、玉の間には、V字谷が!(TT)
 くびれていると、言えなくはない……
 念のため、乗っけた立体の形が変わるぎりぎりのところまで、暖めます。
 最後に、作品全体を、弱い火で焼いて、温度を均等にし、電気炉に入れて徐冷します。
 結構な面積がくっついているし、こんなの引きちぎろうったって、取れないだろうし。
 温度も上げておいたので、ある程度は、原子同士が手をつなぎ合ったはずだし。
 電気炉徐冷をしたから、歪も、少なくて済んでいるはず。
 自分の中で、これは、合格ということになっています。

 もっともっと大きなものだと、内側の歪も、もっともっと大きくなってくるはずなので、もしかしたら、こんなくびれが残る接続部分が、割れる原因になるかも知れません。
 巨匠の大きな作品には、こんなくびれは、見当たりませんし。

 という訳で、くびれが嫌いという、お話でした。

 他にも、細すぎる突起とか、薄いコップ状の物についている大きな塊とか、凹凸の二つの山をまたぐようについた細いブリッジとか。
 危険そうな匂いがして、嫌なものはいろいろあったりします。
 そういうところは、相当注意してかからないと、割れそうな予感がします。
 ああ。
 だから。
 ペンダントトップのループが、あんまり好きじゃないんだ、私。(^^;
 あ、弟のペンダントトップは、モレッティも佐竹も、すべて電気炉徐冷済です。
 私がうるさいから、だって。(^^;


 あ……⑤では、終わらなかった。
 その⑥に続く。

 まだ、続くのか!
by glass-fish | 2013-07-06 00:28 | ガラスのウンチク

熱の履歴・・・・・・その④

 その③からの、続きです。



 いよいよ、本題ですが……
 って、やっと。(^^;


 いろんな話が入り組んで、頭の中に納まっているのを、どこから書けば良いんだか。(^^;

 という訳で。
 理想的な、「ガラスによる立体」の完成品というのを、考えてみましょう。

 見た目、直観的に、素晴らしい!
 しかも、置いたときに、グラグラすることもなく、バランス感も良い。
 いくつかの突起の先に、いろんなものがくっついているものの、その突起は、先の部分の重量に耐えきれず壊れるほどは、細くはない。
 どこを見まわしても、溶着不良などによる、ガラスの原子レベルでの結合が少なくて危うい場所もない。
 膨張率の違うガラスが、使われていたりしない。
 おっそろしく時間をかけて、電気炉で徐冷をされているので、内側のガラスは、きちんと均一の密度で、永久歪による応力も、ほとんど問題がない程度しか存在しない。
 仮に、永久歪ができやすい場所に、やや応力がかかっていても、その応力が集中する、例えば気泡であったり、やや大きな純銀の粒のような膨張率が違う異物が、存在しない。

 ついでに。
 応力による引っ張りを考えても、徐冷の困難さを考えても、完成品が、小さい方が、安全。

 思いつく限り、書いてみましたが。
 こんな……
 こんな立体。
 ホンマにできるんか!?

 たとえば、上記の条件を満たしつつ、しかも、大きい作品なんて……

 世間には、あるんだと思う。
 完璧に、歪を取り切れなくとも、ガラスの強度だけで、十分歪による応力を、カバーできる範囲におさえられたような、各条件を、必要十分に満たした、作品が。

 一つ、具体的に、思い当たるものがあります。
 神戸とんぼ玉ミュージアムに飾られている、イタリア人の巨匠、ルチオ・ブバッコ氏が作られた、燭台。
 素材は、モレッティです。

 分かりやすいところから、上げていくと。

 作品の表現力はもちろん、全体のバランスも良い。
 って、ここは、割れる割れないは、関係ないですが……

 細くて弱そうな場所も、見当たりません。

 アシスタントの人が、時間短縮のために、あらかじめ隣で溶かしておいたガラスを受け取った巨匠ですが。
 作業中に、割れになり、取り除きました。
 今のガラスの中に、ごみが入っていたんだ!
 と、気泡や、ごみの存在を、すごく気にされていた。
 作品が大きいだけに、入っていると、本当に割れるらしいです。

 途中に、透明系のセレン赤で、接続部分の丸い飾りがつけられて、ここが割れないか、一番心配なんだと、ずっとおっしゃってました。
 もちろんモレッティ同士だから、私なんかが使う場合は、作品が小さいだけに、気泡が入っていようと汚れていようと、透明系のセレン赤がそんなに悪さをするなんて、感じたこともありません。
 が、立体になると、しかも、大きくなると、あの色のデザインで組み合わせたとき、セレン赤が、悪さをする可能性があるということなのでしょう。
 もちろん、膨張率は、基本的には、同じはずですが。
 何かが、違うのです。
 なんだろ?(^^;

 溶着は、完璧に見えました。
 溶着によって作られる接続部は、どこが接続部だったかわからないほど、滑らかにできています。
 ちゃんと、高温でくっつけて、高温でさらになじませて。
 溶着部分がくびれて、V字谷みたいになったりは、もちろんしていません。

 完成品は、最後に、作品を持ち帰られた人によって、再度、電気炉で徐冷されたそうです。
 徐冷に関して、驚くべきは、ここではないのです。
 巨匠の作品は大きすぎて、バーナーの熱だけでは、全体を温め続けることができないことが、初めからわかっているため、作業を終えた部分の順番に、冷まされていきます。
 そして、一度冷まされたところは、決して再度火に入れない。
 入れると、急加熱で割れてしまうからです。
 ここまでは、他でも聞く話ですが。
 たとえば、その一部の工程ですが、人体を足から作り始め、お尻のところを作り、その上に、胴体が着きます。
 胴体になるガラスが、どろどろに溶かされて、お尻の上に、乗っかった後。
 この胴体になるガラスの形を、いよいよ胴体にするという作業までの間、延々、どろどろに焼き続けておられたのです。
 それは、それは、長い時間。
 すべての個所で、そうでした。
 これは何を意味しているのか?
 お尻のところを直接焼くことなく、胴体を焼き続けることによって、胴体からお尻の方に、熱を伝えている、そのように、思えました。
 胴体とお尻の接続部分の前後で、温まり方に差があれば、やはり、永久歪になります。
 いや、もしかして、お尻の部分は、足との間にも接続部分があるので、ここでも同じ作業をされてはいましたが、足にまで、熱は伝わっているのでしょうか?
 胴体を焼いた熱は、どの部分に、どのくらい伝わったのだろう?
 そして、同時に、常温の空気によって冷まされ続けているわけですから。
 どこがどれだけ暖められて、どの部分が冷まされて。
 これによって、内側のガラスの膨張収縮の分布は、どうなったんだろう?
 それは、巨匠の経験に基づく、シミュレーションでしか、見ることのできない、目に見えない熱なのです。
 そして、やっと、胴体の形が、作られました。
 ここから、お尻の部分は、冷めていきます。
 ガラスが収縮を始めます。
 足との接続部分にも、大きなひずみを残さず、ガラスの強度で持つ範囲の歪に留めて。
 そして、胴体との接続にも、大きなひずみを残さず、ガラスの強度で持つ範囲の歪に留めて。
 その先の、胸の部分のガラスが、どろどろに溶けてつけられた後、また、そのガラスが、延々焼かれます。
 こうして、随所に、作業段階で、どうしてもある程度つくらざるを得ない歪を残しつつ、途中まで完成した時、それが、電気炉の中で、長時間、同じ温度でキープされ、その間に、途中で作った歪は、小さくなります。

 あ、徐冷のところ、特に、長くなりましたね。

 ちなみに、ボロシリケイト作家の方デモも、同じような工程でした。
 ボロシリケイトでも、大きくなると、徐冷が必要なんだそうで。
 作家さんは、お客様が受け取った後に、割れては嫌だと、何度も繰り返しておられました。
 ボロシリケイトなのに……
 膨張率32なのに……
 100度の温度変化で、0.032パーセントしか、体積が変化しないのに。
 ↑くどい!
 ↑↑計算が合っているかは、不明です。すみません。(^^;


 こうして、徐々に冷ましながら作るタイプの立体に関しては、特に、途中段階での熱のシミュレーションが、必須になってくるようです。
 そう、何となく、理屈は分かる。
 ↑東寺さんに来た、変な客のセリフみたいになっている
 ↑↑上っ面の理屈だけわかっても、作られへんねん、これが(TT)

 そう。
 大変なものを、見てしまいました。
 なんだか、すごい!
 それだけは、ひしひしと伝わってきました。
 そんな時、頭はオーバーフローで、ぼおっとしつつも、心がプルプルと震えるのです。
 ああ。
 人が物を作る、それを見るのが、本当に大好きです。
 世の中には、すごい人がいる。
 それを感じられることは、幸せなことです。



 そういえば。
 小さな立体を作るときにだって、作業部分は熱いけれど、作業をしていないところが冷めすぎていないかとかは、考えます。
 極端に、熱いところと冷めたところが隣り合わないように、考えます。
 出来上がったものを、電気炉徐冷すれば、割れない。
 それだけでなくて。
 作業工程でも、熱の状態を、刻々、シミュレーションするのです。

 大きなものは、大きな熱の差になりやすく、すると内側の応力も大きくなる。
 ところが、局所的なガラスの強度は、同じだから。
 同じ単位面積あたりに、より大きな力がかかると、当然、割れやすくなります。
 特に大きなものでは、熱のシミュレーションは、特にシビアなのが、あの長い長い焼き時間が、物語っていました。


 と、話が、壮大になったところで……


 その⑤に続きます。
by glass-fish | 2013-07-06 00:26 | ガラスのウンチク